■ブラウザの実装
ユーザーシェアの高いブラウザに合わせて制作する
ウェブページの表示には、通常ブラウザと呼ばれるソフトウェアを使用します。
現在よく利用されているブラウザには、Internet Explorer、Firefox、Safari、Google Chrome、Operaなどがあります。
制作者がHTMLやCSSの標準仕様を守ってウェブページを作成しても、最終的にウェブページをどのように表示するかは、ユーザーが使用するブラウザに依存します。
ユーザーは、WindowsやMacなどのOS(基本ソフト)に標準搭載されているブラウザを利用したり、自分の好みに合ったブラウザをインストールして利用します。
ユーザーの利用するブラウザの種類やバージョンを制作者の側で決めることはできないので、ウェブサイトを不特定多数のユーザーに利用してもらいたい場合には、
ユーザーシェアの高いブラウザでウェブページが適切に表示されるように制作する必要があります。
過去の状況
各ブラウザベンダーは、ウェブページを適切に表示するために、基本的にはHTMLやCSSの標準仕様に準拠したブラウザを開発しますが、必ずしもすべての仕様を実装できるわけではありません。
Internet ExplorerとNetscape Navigatorが2大ブラウザと呼ばれていた頃には、CSSの機能の多くが実装されていないブラウザが主流でした。
CSSがサポートされている場合にも、あるブラウザでは標準仕様通りに実装されていても、他のあるブラウザでは動作が異なるということがよくありました。
ウェブ標準の考え方は今ほどは重視されておらず、ブラウザが独自に追加した拡張機能が盛り込まれることもよくあり、ブラウザごとにサポートされているHTMLやCSSの仕様が異なっていることが少なくありませんでした。
こうしたブラウザ間の実装の違いは、ウェブ制作者を苦しめることになります。
特定のブラウザだけでしか使用できない HTMLタグやCSSプロパティの存在は、ブラウザごとに処理を分けなければならないなど、 ウェブサイト開発者に内容の良し悪しとは違う部分での労力を増やすことにもなりました。
また、イメージ通りのレイアウトを実現するために、HTMLや CSSの標準仕様をあえて無視してウェブサイトを制作せざるを得ない状況が長く続きました。
近年の状況
近年では、こうした状況はかなり改善されています。
標準仕様への準拠が進んだブラウザの普及により、W3Cの定めたHTML 4.01やCSS 2.1などの標準仕様に準拠したウェブページを作成すれば、
完全ではないまでも、おおよそブラウザの違いを超えて問題なくウェブページを表示させられるようになっています。
ただし、現在でもブラウザごとに表示のされ方が異なる場合があり、ブラウザ特有のバグなどもあるので注意は必要です。
また、過去のバージョンのブラウザを使用しているユーザーは少なからず存在しているため、そうしたブラウザ向けに裏技的な手法でレイアウトの崩れなどが起きないように対策をする必要があるかもしれません。
特にInternet Explorer6は、2001年に公開された古いブラウザであるにもかかわらず、いまだに利用しているユーザーが無視できない比率で存在しています
(2010年現在、日本では8%くらい?)。
IE6は、その登場時にはCSS2のサポートが比較的進んだブラウザとして歓迎されたものですが、
現在普及している他のブラウザと比較するとCSS2のサポートが中途半端でバグも多いため、ウェブ制作者としては早く淘汰されて欲しいブラウザのひとつです。
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